まったく新しい生命体
米航空宇宙局(NASA)などの研究グループは、生命の維持に不可欠な元素がなくても生きられる細菌を発見したと発表した。
事前に「宇宙学上の重要な発見」と報告した上で行われた全世界同時ネット中継。様々な憶測が飛んでおり、中には宇宙人との遭遇という突飛でもない事を考えた者も多いが、今回はより地道な生命体の発見となった。しかし無論、そのミステリーは奥深く、今回の発見は紛れも無く生命への果て無き探求の第一歩である。
NASA宇宙生物学研究所のフェリッサ・ウルフ・サイモン博士らは、米カリフォルニア州のモノ湖で細菌を採取。細菌の大きさは0.001~0.002ミリメートル。発見された新生命体は、生命の必須元素の一つであるリンがない環境では猛毒のヒ素を食べて体の一部を作る細菌で、米国カリフォルニア南部の原生地に広がる塩水湖に生息していた。リンなしに生命体が活動する例は未だかつて存在しない。つまり、リンの無い天体でも生命体が存在する可能性を示唆していると同時に、生命体の進化の過程が人間の原点を解き明かす鍵にもなる。
モノ湖の周辺地域は隕石(いんせき)の落下によってできたとみられるクレーターが多い。発表の中では細菌と地球外生命体を結びつける仮定は一切示されなかった。しかし我々は、ロマンのある発見を目の当たりにした事になる。ちなみにSFドラマ『スタートレック』には、ケイ素のみで構成された宇宙生命体が登場するエピソードがある。