満足度トップはau　スマホの扱いづらさに不満も

コンサルティングの国際的専門機関、株式会社J.D. パワー　アジア・パシフィック（本社：東京都港区、アルバート・ラパーズ代表取締役社長）によると、同社が行った2012年の国内携帯電話サービス顧客満足度調査で、auが昨年の2位からトップに返り咲いた。

2位はNTTドコモ、次いでSoftBank。ただ、スマートフォンへの切り替えが幅広い年代で急速に進む中、高機能と引き換えに扱いづらさへの不満も浮き彫りとなっている。



全国10地域（北海道、東北、北陸、関東、東海、関西、中国、四国、九州、沖縄）で、携帯電話の個人利用者を対象に今年７月、インターネットで実施。計31,200人が回答した。

「提供サービス」「通信品質・エリア」「各種費用」「電話機」「アフターサービス対応」「電話機購入経験」の6カテゴリーを設定し、1,000ポイント満点で比較。携帯電話キャリア各社の顧客満足度トップはauで578ポイント。特に「各種費用」と「提供サービス」の領域で最も高い評価だった。NTTドコモは569ポイント、SoftBankは545ポイントだった。

「提供サービス」は、利用実績に応じたポイントサービス、故障や盗難などに対する補償、緊急地震速報などの各種サービス、携帯電話会社のホームページでの情報提供、公衆無線ＬＡＮサービス等を指す。

スマートフォン利用率はこの1年間で15％から30％へと倍増。年代別では10～30代で前年の20％から41％まで拡大するなど最も浸透が進んだ。これに次ぐ40～50代では11％から23％、60代でも５％から９％と、全ての年齢層でスマートフォン利用率が増加した。

一方、業界全体の顧客満足度は前年から10ポイント低下しており、「通信品質・エリア」と「アフターサービス対応」領域の低下幅が大きい。「通信品質・エリア」の満足度低下の背景には、スマートフォンの急速な拡大にともなうデータトラフィックの増加に対し、各社の通信インフラ拡充が追い付いていないためと考えられる。

実際、「インターネットの接続に異常に時間がかかる」といった通信の不具合経験率が、業界全体で前年の39％から46％に増加している。

それでもスマートフォンを選ぶのは「機能が豊富」「使いたい機能があった」など、機能への期待が高いためだ。ただ、電話機に対しては「動作が遅くなったり止まったりする」「電池が持たない」といった不満が年代を問わず多く、フィーチャーフォンユーザーの回答割合を大幅に上回った。

スマートフォン性能への不満は、音楽や動画の視聴の利用率が高い10～30代、次いで40～50代で多い。50代、60代では「使いたい機能が見つけにくい」、さらに60代では、音声通話やカメラなどの基本機能でも「操作が分かりにくい」という不満が多い。

スマートフォンへの切り替えは今後も加速する見込みだが、それに伴う不満も顕在化している。このため、キャリア側としてはさまざまな問い合わせ、問題やトラブル発生時の顧客との接点になる店舗、コールセンターの役割が今後、一層重要となる。

とはいえ「アフターサービス対応」の満足度は業界全体で低下傾向にあり、スマートフォンのアフターサービスへの対応力が追い付いていないことがうかがえる。J.D. パワーは「担当者の知識や説明スキルといった応対面、顧客を待たせないための体制面の強化は喫緊の課題といえよう」と分析結果を結んでいる。




Ｊ．Ｄ．パワーアジアパシフィック
http://japan.jdpower.com/

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