140年の歴史をもつ技術
東京都北区にあるお札と切手の博物館では、2016年12月4日(日)までの日程、『明治の顔-キヨッソーネ、大山助一が彫る元勲の肖像』を行っている。
日本のお札は写真のように見えるのだが、これは精密な線と点の彫刻画線によって構成されている高い技術がみられる。
その版画の礎は、明治初期にお雇い外国人として数々のお札の原盤彫刻を担当したイタリア人銅版画家であるエドアルド・キヨッソーネ(1833-1898)と、アメリカでもその技量が認められた大山助一(1858-1922)という2人の職員が築き上げた。
この展覧会では、2人の彫刻者たちが本業のかたわらに制作した元勲の凹版版画を一同に展示するほかにその彫刻技術についても紹介する。
キヨッソーネと大山助一
キヨッソーネは1875(明治8)年に来日し、17年間の在任中日本のほぼすべての有価証券類の原版彫刻を担っていた。
そして大山助一は印刷局でキヨッソーネから彫刻技術を学んだのち、キヨッソーネに代わる彫刻の名手として数々の日本のお札や切手の原版彫刻に携わった。
大山はのちに渡米して版画を学んだのだが、キヨッソーネ直伝の繊細な画線によって表現したものと、帰国後にアメリカ仕込みの力強くダイナミックな技術で生き生きと彫られた作品も比べることもできる。
お札は版画の緻密な表現の線によって芸術性が高いだけではなく、偽造防止効果にもなっている意味を持っている。
この技術は印刷局で独自に発展を遂げたものであり、140年にわたって受け継いできた、いわば伝統技術といえる。
世界一といわれる日本のお札の技術の一端をのぞくことができる良い機会ともなっている。
休館日は毎週月曜(祝日の場合は翌日が休館日)で、開館時間は9:30から17:00まで。

お札と切手の博物館 『明治の顔-キヨッソーネ、大山助一が彫る元勲の肖像』
http://www.npb.go.jp/ja/museum/tenji/tokubetu/index.html