未だ見解決のまま
社会に大きな衝撃を与えた遠隔操作ウイルスによる"えん罪事件"は、依然として未解決のまま、犯人の身元特定に至っていない。司法関係者は逮捕した4人について「真犯人でない可能性が高い」として誤認逮捕を認めざるをえない状況。警察は逮捕、起訴後に釈放された男性に誤認逮捕を認めて謝罪するなど、屈辱的な対応に追い込まれている。
こうした中、筑波大学発のベンチャー企業「ソフトイーサ株式会社」(茨城県つくば市)の代表取締役・登大遊氏は、Twitterを利用して画像を投稿・共有できる写真共有サービス「Twitpic」で、「ネット冤罪防止ソフト『パケット警察』というものを作っています。完成したらフリーウェアで出そうと思います。」とつぶやき、22日には同社ホームページで緊急リリースを発表した。
立て続けに投稿
同社は現在、4500社以上に導入されているというPacketiX VPN等の開発を行っている。登氏は
遠隔操作ウイルスによる冤罪タイーホを防止し、犯人追跡の助けになるログも残せる『パケット警察 for Windows』!!
『パケット警察』は Windows Vista, 7, 8 では普通の (ユーザー権限の) 遠隔操作ウイルスの操作によって停止させたりログを消したりすることは不可能!
『パケット警察』はなんと Windows 98, 98 SE, Me, NT 4.0, 2000, XP, Server 2003, Vista, Server 2008, 7, 2008 R2, 8, 2012 で動作確認!
遠隔操作ウイルスによる冤罪防止ソフト「パケット警察」の開発がほぼ完了しました。これから動作検証をして、10月22日 月曜日 にフリーウェアとしてリリース予定です
と立て続けに投稿していた。
有力な証拠が残る
ソフトイーサのリリースによると、「パケット警察」はパソコンの通信記録やソフトウェアの起動記録を見張り、自動的にハードディスク上に蓄積する。万一、遠隔操作ウイルスによってあなたのパソコンが犯罪者にリモート操作され「踏み台」となった場合、ウイルスの起動記録や犯人の通信記録がすべてログに残るので、パソコン所有者の無実を証明したり、真犯人を追跡したりするための有力な証拠として利用可能。
「パケット警察」は Windows のシステム権限で動作し、ログファイルも一般ユーザー権限で消去できない設定で記録する。Windows Vista / 7 / 8 の UAC (ユーザーアカウント制御) に完全対応しており、一般的な遠隔操作ウイルスの手口では「パケット警察」の動作を止めたりログファイルを消去・改ざんしたりすることを困難にすることができるという。
ネット犯罪手口は日進月歩
これまでのネット犯罪捜査では、IPアドレスを割り出して犯人にたどり着くという手法が効果を上げているが、そもそもIPアドレスを偽装することはそう難しくない。
ネット犯罪の手口は日進月歩で、捜査当局は今回もIPアドレスをたどる手法自体に疑いを持たないという思考停止状態に陥っていたため、「疑わしきは罰せず」という原則を忘れ、犯行を否認する供述や、逮捕された側に有利になりそうな情報を無視する形となった。
その結果、4件もの誤認逮捕事案を引き起こしたが、捜査当局は現時点で、今回の手口も含め決定的な対応策を見いだせていないようだ。
こうした状況だからこそ、小回りがきく民間の、登氏のような「専門家」による自然発生的な動きが、今後のネット犯罪抑止、あるいは企業や個人の自衛のための大きな力になることは間違いなさそうだ。

登大遊氏のTwitpicページ
http://twitpic.com/photos/dnoboriソフトイーサ株式会社
http://www.softether.co.jp/jp/