日本民藝館が河井と棟方の作品を所蔵している意味
現在千葉県千葉市美術館では、『河井寛次郎と棟方志功 日本民藝館所蔵品を中心に』を2016年8月28日(日)までの日程で行っている。
日本民藝館は、民芸運動の創始者として世界的に知られる柳宗悦が創設したものである。中にはその考えに賛同し、支えた個人作家の作品が収蔵されている。
とくに柳の思想に共鳴し、よき協力者として柳を支えた人物に陶芸家の河井寛次郎と、版画家の棟方志功がいる。なお2015年は棟方の没後40年で2016年は日本民藝館の創設80周年である。
日本民藝館が所蔵する河井と棟方の作品は、柳という稀有な思想家が自らの眼により収集し、同時に展覧会や出版物で紹介した作品が中心となっている。
その中には棟方が河井に捧げた板画(はんが・棟方独自の表現)の『鐘溪頌(しょうけいしょう)』をはじめとして、2人の芸術家を語るうえで欠かせない作品を多数収蔵していると同時に、棟方の作品は柳の案により河井や濱田をはじめとする個人作家や職人たちの協力を得て、表装が施されたものがある点が他のコレクションには見られない特徴となっている。
民芸とともに社会へ影響を与えていった芸術家
なおこの民藝館は、1936(昭和11)年に民芸運動の拠点として東京・駒場に開設されたが、民藝館の建築中に棟方は当時としては大作である板画の『大和し美し』を制作したが、それをきっかけに柳らと出会っている。
そして柳が唱えた「民芸」の考え方はさまざまな人々や社会に影響を与えていったが、全国各地の職人たちが作り上げた「もの」の美しさから学ぶと同時に尊んだ河井や棟方といった個人作家は、民芸運動の推進役となりその活動を支えたのである。
その後棟方と河井は、それぞれ異なるジャンルで創作をしているものの、非常に影響をうけることとなり、2人は生涯にわたって相互に影響を与えていくようになる。
休館日は毎月第1月曜日であり、開館時間は通常10:00から18:00までだが、金・土曜日は20:00まで開館(それぞれ入館時間は閉館の30分前まで)している。

千葉市美術館 展覧会情報
http://www.ccma-net.jp/exhibition_01.html